KREATE Logo


KREATE

JAXAにて初期火星表層水組成の推定に挑む

JAXAにて初期火星表層水組成の推定に挑む

2023年9月から2025年3月まで辻森研究室でお世話になりました、吉田聡です。現在はJAXA相模原キャンパスにて、学振ポスドクとして研究をしています(受け入れ指導教官:臼井寛裕教授)。 私は2016年から2021年まで東京大学・小宮剛教授の下で、炭酸塩岩を用いた太古代海洋組成の推定研究に取り組みました。その後、ご縁があり辻森研究室に移り、研究を続けることができました。辻森研では、研究室の皆さんとの熱い議論を通じて変成岩岩石学への理解を深めることができ、それが今の研究の大きな礎となっています。現在はその知識を活かし、原太古代(40〜36億年前)のイスア表成岩帯に産する珪化・変成炭酸塩岩の形成プロセスを、変成岩岩石学的な視点から解明する論文を執筆中です。 また、辻森研では研究だけでなく、野草(セリやヤブカンゾウ)やキノコ(アミカサダケ)の見分け方まで学ぶことができました。自然と向き合いながら人生を豊かにする術を得られたのは、大きな収穫です。JAXAに赴任した最初の週には、所内の竹林で夢中になってタケノコを掘り、新しい同僚たちから好奇の目で見られたのも今では良い思い出であり、最高の自己紹介になりました。 さて、今年度からは心機一転、火星隕石を用いて初期火星表層水の組成を推定する研究を始めています。これまでに地球上で見つかっている火星隕石は300個弱。その中でも40億年前の火星から飛来したALH84001という隕石には小球状の炭酸塩鉱物が含まれており、40億年前の火星の表層水から晶出したと考えられています。しかし、その形成メカニズムはいまだ議論が続いています。私はこれまで培ってきた炭酸塩岩の地球化学を武器に、この炭酸塩鉱物の形成プロセスを明らかにし、さらにその組成から初期火星表層水の生命必須元素の存在量を推定することで、火星生命の可能性に新たな光を当てたいと考えています。

最後に、地球の炭酸塩岩から火星の炭酸塩鉱物へ。研究対象は地球から火星へと広がりましたが、身近な自然科学への好奇心を忘れずに研究を続けたいです。

URL: https://researchmap.jp/satoshi-yoshida-geo (吉田聡)

URL: https://planetb.sci.isas.jaxa.jp/aqua/ (臼井研HP)